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大容量Wi-Fi ネットワークの設計について

  • 2016.07.15
大切なのは到達範囲

大容量Wi-Fiネットワークとは単に到達範囲が広いというだけでなく、無線を使用して多くのデータを送信できる通信を指します。単にWi-Fiアクセスポイント(AP)を追加したものは大容量とはいえません。しかし、スマートな周波数の再利用と、この記事で紹介するヒントを組み合わせるとそれが可能になります。

大容量用として設計されていてもいなくても、Wi-Fiネットワークは十分な到達範囲となるように設計されていなければなりません。到達範囲の広さ/狭さは、アクセスポイントとモバイルデバイス間で送信される信号の強さに依存します。信号が弱すぎる場合、信頼のできない、あるいは完全に途切れた接続になってしまいます。

簡単にいえば、モバイルデバイスがアクセスポイントに近ければ近いほど、信号強度は強くなります。しかし、信号を弱くするのは距離だけではありません。建物の壁や人体、家具によっても信号を弱くします。つまり、アクセスポイントとモバイルデバイスの間にあるすべてのものがWi-Fi信号を減衰させてしまうのです。

信号強度は『持ちつ持たれつ』の関係です。モバイルデバイスがアクセスポイントの信号を受信できるだけでは十分ではありません。アクセスポイントの送信電力を最大にしてモバイルデバイスがアクセスポイントの信号をうまく受信できても、モバイルデバイスからアクセスポイントに返す通信が失敗してしまえば接続は失敗してしまいます。

Wi-Fiネットワークでは、分散型アンテナ(DAS)を使用することは一般的ではありません。その代わり、アンテナはアクセスポイントのすぐ傍に配置するか、普通はアクセスポイントに組み込まれています(図2)。しかし、壁やエレベータシャフト、その他の物の影響を受けるため到達範囲は円形となる訳ではありません。そのため、ユーザが要求する到達範囲の設計には特別なWi-Fi設計ツールが使用されます。

図2:簡単なWi-Fi到達範囲設計の例

クライアントデバイスは床の上でも、高さ50フィート(15メートル)の天井にアクセスポイントを設置することもある、倉庫のような無線ネットワーク設計の『やりがい』がある場所では、クライアントデバイスは床の上でも、アクセスポイントを高さ15メートルの天井に設置することがあります。このようなケースでは、クライアントデバイスに向けて信号を送信するために指向性アンテナが必要です。また、垂直方向と同様に水平方向にもアンテナの向きを傾けます。3次元設計ツールは、どのようにアンテナの向きを調整すればよいかを教えてくれます。

それでは、十分な到達範囲とはどの程度の範囲を指すのでしょうか?
データだけのネットワークであれば、信号強度が-75dBm以上あれば十分です。しかし、明瞭な音声通信には-75dBmでは不十分です。高品質の音声通信ネットワーク用の工業規格では、よく-65~-67dBmの信号強度が基準とされます。

到達範囲は、利用可能なアクセスポイントの中の最も強力な受信信号強度に関連しています。しかし、アクセスポイントから他のアクセスポイントにローミングする際に、Wi-Fi接続を確保するためには、2番目に強力なアクセスポイントからも十分な信号強度が必要となります。標準的な設計ガイドラインは、1番強力なアクセスポイントからの信号はどの場所でも-67dBm、2番目に強力なアクセスポイントからは-75dBmとなります。