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初歩の電波(無線と電波について)

  • 2010.03.02

第1章 無線とは

無線通信の略称で、有線ケーブルを使わずに無線媒体を利用して電気信号を伝達すること。」です。この中の「無線媒体」とは、無線で通信を行うための媒体(伝送路)のことで、その種類と具体例は別途示します。一般に通信を行うための媒体としては、銅線(電話線など)、光ファイバーケーブル、同軸ケーブル、電波等が挙げられます。また「電気信号」には、アナログ、デジタル等の形式がありますが、目的や用途によって種類は多種多様です。これらについては、この後で更に説明を加えます。

1-1) 無線媒体

無線媒体は、一般的に、電波、赤外線、可視光、音波、超音波、X線等を指しますが、これらのうち音波、超音波を除いたものは、電磁波と呼ばれます。

ちなみに音波は、空気中や水中で伝搬しますが、宇宙などの真空中は伝搬しません。一方電磁波は、真空中でも伝搬します。水中ではどうかと言いますと、周波数がかなり低い場合には伝搬しますが、高くなるとほとんど伝搬しなくなります。

1-2) 無線の用途例

無線の用途には、テレビ放送(音、画像、リモコン)、ラジオ放送、無線LAN(構内通信網)、電話中継、携帯電話、トランシーバ、警察無線、タクシー無線、船舶無線、レーダー、航空無線、衛星通信、位置情報(GPS : 全地球測位システム)、時報(標準電波)、電波時計、ロボット制御、潜水艦、レントゲン、MRI(磁気共鳴画像装置)、リモコン玩具、セキュリティシステム、保護動物の監視、改札、ETC(電子料金収受システム)、気象観測、電子レンジ等、多種存在します。今後も色々な分野で新たな無線の用途や通信方式が開発されると思われます。

新たな話題として、スマートグリッド(次世代送配電網)におけるスマートメーターがあります。これは検針員が行っている電力メータの検針を自動で行い無線を使ってセンターに情報を上げるものです。

1-3) 無線の長短所
長所
  • ケーブルが不要
    無線の最大の特長であり、ケーブル接続の制限から開放されます。
  • 場所の制約を受けない
    全く制約を受けない訳ではありませんが、媒体により異なる制約を受け、条件も変化します。例えば電波は、周波数にもよりますが、宇宙のような結構遠い所まで届きます。光は、途中に障害物があるとそこで遮られてしまいます。このように全てがいくらでも遠くまで届く事でもなく、媒体や装置の利用環境により異なります。
  • 誰もが受信可能
    誰でもが、他者に気がつかれずに受信する事も可能です。ただし通信範囲外の場所では、当然受信することができません。また受信可能な場合でも装置を持っていることや、受けた信号を人間が分かる信号に復調出来ることが必要です。
短所
  • セキュリティに弱い
    受信装置さえ持っていれば受信可能という意味ではセキュリティに弱い(盗み聞きされてしまう)と言えます。ただしこの短所は通信媒体、通信方式、暗号化、パスワード等により強化することが可能です。
  • 雑音に弱い
    無線装置は、周囲のどのようなものでも不要なものまでも受信しますので、周囲の環境によっては雑音に弱いと言えます。しかし通信媒体、通信方式によっては軽減することが可能です。
  • スピードが出にくい
    有線の場合には、その機器の専用線としてケーブルの利用が可能ですので利用周波数帯域を自由に広げられます。しかし、無線の場合には資源の有効利用の観点や法律の制約等があり必ずしも自由に帯域を広げられません。そのためスピードは出にくくなります。
    また、有線通信と違い雑音の影響でエラーが発生することがあり、場合によっては正確な信号を受信するために繰り返して通信を行う必要がありますので必然的にスピードが出にくくなります。