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製品・技術情報

初歩の電波(無線と電波について)

  • 2010.03.02

第4章 さらなる理解へ

ここでは、これまでに電波に関連する概要説明をした中で分かりにくい内容をさらに詳しく、テーマを絞って説明します。多少難しい部分も含まれますが、これにより理解が深まり、さらに興味を持ってもらえるように願っております。

4-5) 電波の偏波

電磁波が空間を伝搬する場合の電界の振動する方向のことを偏波と言います。振動方向が一定の波を直線偏波、振動方向が回転しながら伝搬する波を円偏波(ヘリカルアンテナ等)と言います。円偏波には、右回りと左回りが存在します。また、直線偏波のうち、上の図のように地面に対して電界が垂直な偏波を垂直偏波、電界が水平な偏波を水平偏波と言います。マイクロ波より波長が長い(周波数が低い)電磁波は、送信する側と受信する側とでアンテナの偏波面を一致させないと良好な通信ができないことがあります。この場合に偏波の違いによる伝達の最大のロスは15dB程度になります。

このロスを逆に利用するケースとして、テレビのアンテナを垂直、水平に使い分けることがあります。それは、同じチャネルを使用するテレビ放送局が隣り合う場合に、隣同士を垂直と水平で分けることにより、お互いの干渉を減らします。テレビの場合は、反射等で同じ信号が、時間のずれを持って受信されると、画面が二重に映る、いわゆるゴースト現象が発生します。隣り合うテレビ放送局における異なる偏波の利用は、これと似た現象を軽減します。

上記の説明中の円偏波の具体的な利用としては、物理的に偏波が変化する場合で、例えば衛星通信の場合に衛星は受信者に対して常にアンテナ、すなわち偏波面が同じ方向を向いているとは限らず、直線偏波を利用しますと偏波面がずれることがあります。この場合に円偏波を利用しますと問題を軽減することができます。実際にBS・CS放送やGPSは円偏波を使用して送信しています。また高速移動体同士の通信に有効だとも言われています。