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初歩の電波(無線と電波について)

  • 2010.03.02

第4章 さらなる理解へ

ここでは、これまでに電波に関連する概要説明をした中で分かりにくい内容をさらに詳しく、テーマを絞って説明します。多少難しい部分も含まれますが、これにより理解が深まり、さらに興味を持ってもらえるように願っております。

4-12) 電圧定在波比 : VSWR

高周波の信号を伝送する場合に、理想的な条件では全てが進行波として伝わりますが、条件により反射波が発生し信号の一部が戻って来ることがあります。これをリターンロスと呼び、単位はdBです。直流の場合にはこの様なリターンロスの問題は発生しません。(参考に : リターンロスは、反射が少ないほど値は大きく、例えばVSWR = 1.002(反射係数 = 0.001)の場合、60dBとなり、VSWR = 3.01(反射係数 = 0.5)の場合、6dBです。「反射が少ないほどリターンロスの値が大きい」と言う考え方は、単純に考えると混乱しますので、注意が必要です。)

反射が発生する条件としては、ケーブルのインピーダンスと受け側(終端、アンテナ等)のインピーダンスが一致しない場合になります。この進行波と反射波の足し合い、打ち消し合いのために振幅に波を生じますが、これの最大と最小の比を電圧定在波比と言います。

下の図は、SWR(定在波比)の測定器ですが、測定結果が「1」の場合には、反射波がない、また「∞」の場合は全てが反射波になります。

高周波の信号を送信機からケーブルを経由してアンテナに送り電波を発射する場合に、インピーダンスの不整合があると反射波が発生し、電力をうまく送れなくなりますが、これの最も大きな要因はアンテナにあります。アンテナは通常、ある決まった特性インピーダンスを持ちますが、周波数がずれたり物理的に変化したりするとインピーダンスは変化します。また、外部の要因、すなわちアンテナの近くに金属があったり、人がいたり、電界や磁界に影響を与えるものがあると、その影響でインピーダンスは変化し、そのことにより反射波が発生することになります。通常、インピーダンスを合わせることを「マッチングをとる」と言いますが、効率よく電波を発射するには大切な作業です。