IBS Japan

東京電力福島第一原発事故に伴う計画停電の実施は、日本の経済に大打撃を与えました。今から8年前にニューヨーク大停電といわれた出来事があったことを思い出してください。2003年8月14日、アメリカ合衆国北東部と中西部の一部およびカナダオンタリオ州にまたがる広範囲で起こった大停電で、その地域の5500万人以上に影響した空前の停電に見舞われました。この大規模な停電は、一般需要家にとって不便であった以上に地域経済、産業、およびインフラストラクチャがこの出来事によりすべてが破壊されました。原因は、送電管理システムのダウンにより連鎖反応を起こしたためとされています。

電力は、蓄積が難しいため需給調整を実施し需要に合わせた発電を行い送電系統や変電所の過負荷が発生しないように電力系統システムの適切な運用を行わなければなりません。電力会社では、24時間体制で複数の人間が専門で常駐し常に監視して対応できる体制を確保していましたが今回のような東日本大震災で大被害を受けた東京電力福島第1・第2原発で発生した予想もつかない未曾有の大事故は、早期の復旧や代替の確保などが難しい状況です。そのため計画停電による需給・系統調整が行われています。

今回の東京電力福島第1・第2原発事故に伴う計画停電の実施は、日頃からの適切な需要予測およびシミュレーションのためのよりインテリジェント、精密、高信頼性システムによる変電所自動化システムを含めた電力オートメーションシステムのアップグレードの重要性が脚光を浴びることになりました。従来、米国の大停電は、わが国の発電、送電系統の設備、管理および運用面からの優秀さから対岸の火事程度しか考えられなかった感じでした。しかし、今回の事故を教訓として他国に比べて後れを取っている"スマートグリッド"の導入がわが国でも真剣に考える時期に来ています。このような中で "スマートグリッド"の中枢を担うインテリジェントな電力オートメーションシステムに必要な精密なシステム同期オペレーションのためのIEEE 1588 v2規格をサポートする産業用組込コンピュータおよび産業用イーサネットスイッチが注目されます。