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産業用ワイヤレスネットワーク導入の際に必要とするワイヤレス 技術の基本の学習および6つの誤解

  • 2014.08.05

初歩の電波(無線と電波について)ページへ

ワイヤレス通信は、特に限界のないネットワーク接続性が必要とされる有線による配線が難しいロケーションや恒久的な配線が必要としないアプリケーションの多くの産業環境にとって魅力的な選択肢となります。しかしながら、が必要とするサービスの質を必要とする多くの産業用ワイヤレスアプリケーションは、一般的な家庭/オフィスといったワイヤレスサービスとは大きく異なります。実際に産業用ワイヤレスアプリケーションでは、サービス品質と改善された決定性の高いレベルを必要とします。ワイヤレス接続性を必要とする多くの産業オペレータの場合、有線通信と異なり比較的ワイヤレス技術に馴染みがなくが、その結果、産業用ワイヤレスネットワークに関する多くの誤解からワイヤレスネットワーク通信のために必要な非効率的で効果的でないプラットフォームを使うことになります。

1. 輻射パターン特性は、一般的にすべてのアンテナに対して同一です

指向性アンテナは、特定のアプリケーションに必要な方向または目標とするエリアに向けて約30度のビーム幅で送信信号を集束するために使用されます。指向性アンテナは、ポイント・ツー・ポイント伝送、またはリニアーパスに沿ってクライアントのために必要な専用のアクセスリンクを提供するのに理想的です。

オムニ(無指向性)アンテナは、すべての方向に(360度)信号を輻射するために使用します。オムニアンテナは、中央のロケーションからネットワークカバレッジを提供するアクセスポイント(AP)といったデバイスからの信号送信に適しています。
詳細については、4-8) アンテナの指向性を参照してください。

2. アンテナの利得を増大することでワイヤレスカバレッジエリアを増大させます

信号の指向性と電気的効率は、アンテナゲイン(利得)値によって特定されます。下図は、指向性アンテナのゲインが増加した際のアンテナのパターンを示します。ローゲイン値は、一般的により均一のパターンで輻射されます。一方、ハイゲイン値は、より特定の方向により狭い角度のビームパターンで集中して輻射します。この狭いビームは、アンテナのディレクタ(導波器)により実行されます。

アンテナは、受動的なコンポーネントであり、従って、ワイヤレスエネルギーを増幅する機能は備えていません。 使用するアンテナの種類に関わらず、輻射されるエネルギーの全体的な"ボリューム"は、同じです。アンテナゲインの変更は、エネルギーがどのように放出されるか変更します。それはエネルギー輻射パターンの形状に影響を与えます。下の黄色の風船は、オムニアンテナゲインがどのように機能するかを示しています。左側の風船は、ローゲインアンテナからの輻射パターンを示します。一方、右側の風船は、ハイゲインアンテナからの輻射パターンを表しています。ここで示すように輻射エネルギーのトータル"ボリューム"は、一定のままです。風船は、その水平方向のカバレッジを向上させるために、その縦方向のカバレッジを犠牲にしなければなりません。同じ概念は、指向性アンテナにも適用されます。即ち、長距離に対する伝送を実現するために輻射エネルギーのビームをより集中することで小さな角度に絞ることができます。
詳細については、「4-8) アンテナの指向性」を参照してください。

3. ゲインだけがアンテナの種類を選択する際の重要なファクタではありません

ゲインは、適切なアンテナを選択するときに間違いなく非常に重要な特性ですが、偏波、インピーダンス整合およびVSWR(電圧定在波比)といった他の要因も考慮すべきです。

編波
不適切なアンテナの設置は、受信する信号品質の低下を招きます。これは、信号が最適な状況下で送信され受信されていることを確認するためにWLANのアンテナの偏波を知ることが重要です。
インピーダンス整合
送信機からアンテナへ最大の電力伝送を実現するためには、アンテナシステムとのインピーダンス整合を必要とします。インピーダンスのミスマッチングは、適切にアンテナに対してエネルギーが送られないことでエネルギー損失およびエネルギーの反射により送信回路の損傷を引き起こす可能性があります。
VSWR(電圧定在波比)
電圧定在波比(VSWR)は、アンテナ効率を測定するために伝送ライン(同軸ケーブル)上の最大電圧と最小電圧の比に使用されます。VSWRが高いことは、低い伝送効率を意味し、熱損失により伝送ラインを加熱しまた、反射として電力が戻ることで最悪の場合、送信機を損傷する可能性があります。
VSWRの詳細については、「電圧定在波比 : VSWR」を参照してください。
4. チャネルボンディングは、常にワイヤレスリンクのスループットを向上させます

802.11nは、より高いデータレートを可能にするために隣接する2つの20MHzチャネルを結合します。しかしながら、ワイヤレス状況に応じて、チャネルボンディングは、40MHzのスペクラムを使用するので干渉を受けやすくなる可能性があります。いくつかの802.11nデバイスは、過度の干渉が検出された場合にのみ20MHzの帯域を使うことに後退します。

5. より高いデータレートは、大きな送信電力および複雑な変調を必要としません

多くのタイプのワイヤレス技術は、様々なワイヤレスアプリケーションの要件を満たすために開発されてきました。例えば、ZigBeeおよびBluetoothといった比較的低いデータレートのワイヤレス技術は、シンプルな変調方式を用いて送信するために多くの電力を必要としません。より高い変調フォーマットは、常に、信号のコーディングのためにより多くの電力を消費します。

6. ワイヤレスデバイスは、苛酷な産業アプリケーション環境のワイヤレスネットワークでも使用できる必要があります

一般商用のワイヤレスデバイスは、ワイヤレスネットワーク障害により重大な結果を伴わない家庭/オフィス環境において最善の機能を発揮します。一方、様々な電波障害や電磁気干渉の存在する苛酷な産業用アプリケーションワイヤレスネットワークにおいてワイヤレスネットワーク障害は、現場作業者の安全性、高価な機械/機器の損傷やフリーズに伴う製造停止により高額な損失の費用が発生する可能性を秘めています。さらに産業オペレータは、ネットワークのパフォーマンス、デバイスの信頼性および予期せぬシステムダウンタイムに繋がる可能性があるためアプリケーション環境の要素を評価すると共に冗長性ネットワークを考慮する必要があります。そのためには、2.4GHzと5GHzの両帯域のコンカーレント通信の必要性を考えることも大切です。

さらに、モバイル接続性の利便性は、より低いコストと迅速な導入を図る上で利点があります。ワイヤレス接続性に向けた最初の一歩は、特定のアプリケーションに適したワイヤレス技術を選択し最適化されたパフォーマンスと信頼性の高いワイヤレスネットワークを構築するために適したアンテナの選択、損失がないRFケーブルおよびコネクタを適切に組み合わせる必要があります。