ニュース

メディア掲載

2023.07.18

【メディア掲載情報】工業技術社発行の「計装」2023年8月号に記事が掲載されました

「計装」2023年8月号

工業技術社発行の「計装」2023年8月号に、弊社システム営業部セールスプロモーション課 藤田が寄稿しました無線応用システムの最適運用に関する記事「最適なWi-Fi 環境構築におけるサイトサーベイの有用性」が掲載されました。

「普及期を迎えた無線応用システムの最適運用」を特集とした本号において、過Wi-Fiに焦点を当て、Ekahau社のサイトサーベイソフトウェア「Ekahau AI Pro」、測定デバイス「Sidekick 2」により、最適なWi-Fi 環境を設計・維持するためのポイントと手順について紹介しています。

Ekahauのソリューションについて詳細はこちら

「計装」のお求めに関しては、発行元である工業技術社のWebサイトをご確認ください

https://www.ice-keiso.co.jp/index.html

寄稿記事

「最適なWi-Fi 環境構築におけるサイトサーベイの有用性」

アイ・ビー・エス・ジャパン株式会社
システム営業部 セールスプロモーション課
藤田 修徳(フジタ ノブヨシ)

1.はじめに

近年の世界的な健康危機において、リモートワークやデジタルコミュニケーションの需要が急増するなど、様々な分野でデジタルトランスフォーメーション(DX)のさらなる加速が求められ、ワイヤレスネットワークの需要も高まった。製造業を含む産業分野も例外ではない。有線・無線が混在する産業現場において、高い信頼性と安定性を確保し、シームレスな通信が可能な無線LAN 環境を構築するためにはどうしたらよいか。
本稿では、無線のなかでも製造現場において急速に採用が拡がるWi-Fi に焦点を当て、Ekahau社のサイトサーベイソフトウェア「Ekahau AI Pro」、測定デバイス「Sidekick 2」により、最適なWi-Fi環境を設計・維持するためのポイントと手順について解説する。

2.サイトサーベイによるWi-Fi 環境の構築フロー

まずは、Wi-Fi環境の設計におけるサイトサーベイの全体像をみていこう。
Ekahauでは、優れたWi-Fi環境の構築には、以下の3つのステップを押さえることが重要だとしている。

  1. 優れたネットワーク設計には事前の計画が重要:
    適正なアクセスポイント(AP)の数、設置場所、構成をデザインする。
  2. 高い精度の測定デバイスを使っての測定・検証:
    事前のデザイン(計画)に基づいて現場で検証を行う。
  3. 定期的なヘルスチェックによる環境の維持:
    定期的なサーベイによりトラブルを未然に防止、変化に合わせた最適化を実施。製造現場を例に、ステップを一つひとつ掘り下げていく。
3.事前設計-オートプランニングによるシミュレーション

この事前設計こそが、最も重要なポイントであると言っても過言ではない。
Ekahauには、自動的にAI機能を利用して最適なAPの設置個数、設置場所、およびチャネル設定をシミュレーションするオートプランニング機能がある。
既存のWi-Fiがなく新たに敷設する場合、現場の物理的要件や、カバレッジの要件、データレートの目標など事前情報が揃っていれば、この機能を使用することが有用である。
はじめに、Wi-Fi環境を設計するためには、製造現場の特性や要件を詳しく把握した図面を用意することが必要になる。現場の図面をEkahau AI Proに取り込み、電波干渉やWi-Fi信号の進行・減衰に影響を与える可能性がある現場のレイアウトや建築構造、物理的な制約と障害物の情報を確認し、必要なカバレッジ範囲を設定する。

また、製造現場では、リアルタイムのデータ収集や制御が求められ、ワイヤレスネットワークは、低遅延と高いデータ転送速度を提供する必要がある。そこで、データの転送量やカバレッジ範囲内で使用するデバイスの数や種類の情報も事前に把握しておきたい。モバイルデバイス、センサ、制御システムなど、どのようなデバイスがWi-Fiに接続するのか、必要な帯域幅や安定した接続が必要なのかを確認しておくことで、より正確なシミュレーション結果を得ることができる。
図1 にWi-Fiネットワークプランニングのシミュレーション結果を示す。アクセスポイントの自動配置機能で、Wi-Fiネットワークを最適化。わずか数秒で指定されたカバレッジとキャパシティの要件に基づき、自動的にマルチフロアのWi-Fiネットワーク設計ができる。

(図1)現場に設置されているAP 情報や電波状況をリアルタイムで可視化
(図1) 現場に設置されているAP情報や電波状況をリアルタイムで可視化

Ekahau AI Proには、主要APベンダとAPモデルのアンテナパターンが4,000種類以上搭載されている。採用するAPが決定している場合はそのAPを指定、決まっていない場合はデフォルトのジェネリックAPから選択し、オートプランニングを実行する。すると、わずか数秒で指定された要件に基づきAIを利用して自動的にWi-Fiネットワークの設計をしてくれる。
さらに要件を確認して現状の電波状況を測定し、APを仮設置して電波の到達範囲や、壁などの遮蔽物による電波の減衰状況などを確認し、AP設置を調整するという方法もあり、新規のみならず、既存のWi-Fi環境を拡張・変更する場合などは、この方法で最適な環境を設計することができる。
いずれの場合も、最適化したネットワーク設計を数秒で生成して最適なAP配置と構成を発見できるのは、AIによる何千もの設計の反復が行われているからである。これまで、経験や勘に頼った設計や、手動での計算に時間を費やしていた状況から、AIによってスピードと精度の高い設計が実現できる。もちろん、AIが生成した設計をそのまま利用するほか、特定の設置ニーズに合わせて手動で調整を加えるなどして、さらに精度を高めていくことができる。

4.サイトサーベイでWi-Fi 電波を可視化

次に、事前に設計したデザインが実際に機能するかどうかを検証するために、現場でサイトサーベイを実施する。ここで、Ekahauが他のサーベイツールと比べて性能、精度の面で圧倒的な差別ポイントとなるのが、高速なデータ収集と処理能力を備えたワイヤレス測定デバイス「Sidekick 2」である。
4本のWi-Fiアンテナを内蔵したSidekick 2は、強力なスペクトラムアナライザとして機能し、2.4GHz、5GHzおよび6GHzの帯域での信号強度、ノイズレベル、チャネル利用率などの情報をリアルタイムで計測する。これにより、現場のワイヤレス環境を詳細に分析し、最適な設計やトラブルシューティングを行うことができる。
基本的にはこのSidekick 2を肩から提げ、ノートPC やタブレット、スマートフォンなどのモバイルデバイスとつないで移動しながらデータを収集する。人間工学に基づいてデザインされているため体への負担が少なく、また、内蔵バッテリで動作するため長時間の計測作業が可能である(図2)。

(図2)Ekahau Sidekick 2およびEkahau Sidekick 2とタブレットPCでのサーベイ作業イメージ
(図2) Ekahau Sidekick 2およびEkahau Sidekick 2とタブレットPCでのサーベイ作業イメージ

ここでサイトサーベイのスピード面において、Ekahauの優位性に触れておきたい。
サイトサーベイツールを用いたサーベイ方法にはいくつか種類がある。一般に「ストップ・アンド・ゴー」といわれる手法では、ノートPCなどに取り込んだ地図を見ながら歩き、計測ポイントごとに一定期間(測定するデバイスにより、時間は異なる)立ち止まってデータを収集し、次の計測ポイントへと移動する。異なる方法として、立ち止まらず、歩きながらポイントポイントで地図上をクリックしていく「ウォークスルー・サーベイ」という方法もあるが、精度を保つためにはゆっくりと歩く必要がある、というのが一般的であった。
この点、Ekahau Sidekick 2は、複数のアンテナで同時に2.4GHz、5GHz、6GHzの3つの帯域を測定し、高速でデータ処理することが可能であるため、歩くスピードを気にする必要がない。また、Ekahau Sidekick 2とiPhone/iPadをつないでサーベイを行う場合は、iPhone/iPadのAR機能を活用したオートパイロット機能がある。この機能でサーベイする場合は最初に2 箇所のポイントをタップするだけで、立ち止まる必要はもとより、各ポイントでの地図をタップする必要はなく、ただ歩くだけでよい。サーベイ時間の大幅な短縮の実現と、その都度、画面を確認するために立ち止まるストレスから解放される。

サイトサーベイで収集したデータは、リアルタイムで分析、可視化される。信号強度や電波干渉、電波の不達エリアなどの問題点や、最適なAP の設置位置やチャネル設定などの改善策が示される。また、現場に設置されているすべてのAP情報を取得できるため、たとえば、外部から不正に持ち込まれたAPの検出も可能である(図3)。
Ekahauはヒートマップ機能も充実しており、電波強度だけではなく、豊富な種類のヒートマップからニーズに合った最適なものを選択して収集したデータを解析、Wi-Fiネットワークパフォーマンスを迅速に判断する。
出力したい項目を選択するだけで、短時間でフォーマットに沿ったレポートを生成できるため、即時に状況の確認や共有が可能である。

(図3) 現場に設置されているAP情報や電波状況をリアルタイムで可視化
(図3) 現場に設置されているAP 情報や電波状況をリアルタイムで可視化

5.定期的なヘルスチェックの実施

Wi-Fi環境は、一度設計したら終わりではない。時間の経過とともに、設備の拡張や機器の入れ替えや増設、人員の増減、周囲環境の変化などの様々な要素がWi-Fi 環境に影響を及ぼし、通信速度の低下や電波の途切れを生じさせる。自社のエリアのみならず、隣接する建物など外部から電波干渉による影響も考えなくてはならない。また、何が原因なのかを特定できない場合も多く、まだ大丈夫という過信から大規模なネットワーク障害を起こす原因にもなり得る。計画を立て、定期的にサイトサーベイを行うことが、最適なWi-Fi環境を維持するための鍵となる。

6.最後に

弊社アイ・ビー・エス・ジャパンは、Ekahau社の日本正規代理店として、またネットワークのスペシャリストとして、製品・サービスの提供にとどまらず、製造現場をはじめとする現場のネットワーク環境を最適化するための技術情報の提供など幅広い支援を行っている。これから無線化を進めるユーザも、既存環境に改善の必要性を感じているユーザも、ぜひお気軽にご相談いただきたい。

カテゴリー