ここでは、これまでに電波に関連する概要説明をした中で分かりにくい内容をさらに詳しく、テーマを絞って説明します。多少難しい部分も含まれますが、これにより理解が深まり、さらに興味を持ってもらえるように願っております。
アンテナは、基本となるアンテナ(現在2種類ある)と比較して最大方向のレベルをdBで現わします。一般的にダイポールアンテナと比較した場合は、アンテナゲインxxdBとして現わします。一方、全方位に無指向性(球面)の理想的なアンテナを基準とする場合には、アンテナゲインxxdBi ( i は、isotropic antennaのことで「等方向性アンテナ」の意味になります)と現わします。この場合、ダイポールアンテナゲイン0dB = 2.14dBiになります。通常指向性アンテナの指向性をシャープに絞れば絞るほど、アンテナゲインは高くできます。これは、目的とする方向のレベルを上げて、それ以外は下げる手法をとります。逆に、いずれか方向のレベルを上げれば、それ以外は必然的に下がることになります。
例として、直径45cmのBSパラボラアンテナのゲインは約34dBiです。また、7.5GHz帯の直径3mのパラボラアンテナのゲインは約43dBiです。Wi-Fiに使用するアンテナには、9dBi、12dBi等の製品があります。
この様に、アンテナのゲインが高いほど、指向性はシャープになります。ちなみに、BSアンテナの取りつけ時の角度合わせは非常にシビアです。BSのアンテナゲインを33dBiとして換算すれば約2,000倍になりますので、いかにシャープであるかが分かると思います。ただし、ゲインが高いほど実際の送信機の電力は軽減することができ、同時に他の無線機器への妨害も軽減できます。 その意味では、例えば上記43dBiのアンテナを使用して1wの送信電力を入力した場合、最大指向性の方向には、dBの換算により20,000W相当の電波が輻射されることになります。一対一の固定通信の場合には、送信機を小さく、消費電力も少なく、他への妨害も少なく非常に効率のよい方法になります。ただしアンテナの方向合わせが非常に微妙になり、ちょっとした物理的なずれが発生すると全く通信が出来なくなります。目的、用途に応じて、どの程度のアンテナゲインにするかを十分に検討する必要があります。