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EV充電システムの信頼性の優れたCAN通信を確立する

  • 2022.10.26
EV充電システムの信頼性の優れたCAN通信を確立する

EV充電ステーション (EVSE:Electric Vehicle Supply Equipment) は、電気自動車 (EV:Electric Vehicles) のバッテリーを充電するための電気デバイスです。EVの普及に伴い、道路を走行するEVの数が拡大するにつれて、EV充電ステーションの需要も増大しています。EV充電ステーションには、スタンドアロンタイプとネットワークタイプの2種類のタイプが存在します。スタンドアロンタイプは、ネットワーク接続を使用しない独立タイプです。ネットワークタイプは、充電ネットワークに接続するタイプです。この2つのうち、ネットワークタイプの充電ステーションは、スタンドアロンタイプに比べて多くのメリットがあります。複数のEV充電ステーションをネットワーク接続することで、アプリケーションプラットフォームを通じてエネルギー使用量を簡単かつリモートで管理できるEV充電システムを構築できます。EV充電システムは、各EVから充電状況やエネルギー使用量などの情報を簡単に収集し、EVがいつ、どれだけの電力を充電したかに基づいて、EV所有者に課金情報を提供します。さらに、EV充電システムは、電力網やエネルギー貯蔵システム (ESS:Energy Storage System) と情報交換を行い、ESSからEV充電ステーションへの電力の安定性と信頼性を向上させます。例えば、電力網上で突然の需要がピークに達すると、EV充電システムがESSに通知し、ESSはエネルギー貯蔵電池に蓄えられたエネルギーを使用することを可能にします。

EV充電システムのメリットを享受し、最大限に活用するためには、EV充電ステーション間との信頼性の高い通信を構築する必要があります。この記事では、EV充電システムの展開に関する通信の課題について説明し、信頼性の高い通信を可能にするソリューション情報を提供します。

EV充電システムの通信の課題

EV充電システムは、EV充電効率を最適化するための情報を収集するために、スムーズで信頼性の高い通信に依存します。EVが充電のために充電ステーションにプラグインすると、EV充電ステーション、電力網、ESSは、ワイヤレスまたは有線ネットワークを介して、バッテリの充電ステータス、電力容量、エネルギー使用量などの情報を交換します。この情報は解析のためにコントロールセンタにも転送され、特定の時間に必要な電力ワット数を正確に把握することができます。従って、充電要件を満たすために十分な電力が常に供給されます。

EV充電システムの通信の課題
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信頼性の高い通信の前提条件は、EV充電システムの接続を知ることです。EV充電システムの信頼性の高い接続を実現する際に、一般的に2つの通信の課題に直面します。

CAN通信プロトコルの伝送制限

自動車は、通信busとしてCAN busを採用しています。そのため、内部に使われているバッテリもCAN busに接続されています。多くのEVとEV充電ステーションがCANを介して通信しているため、EV充電システムは、EV充電ステーションで使用しているCANデバイスに接続できる必要があります。ただし、ボーレートは、ISO 11898規格に記載されているように、CANシステムの伝送距離が制限されています。ボーレートが速いほど、最大伝送距離は短くなります。つまり、特定のボーレートに対するCANシステムの最大伝送長を延長することはできません。 距離に関するこの制限を克服し、EV 充電ステーションをより柔軟に展開するには、この問題に対処して、長い通信距離で期待されるボーレートを提供できるネットワーキングソリューションが必要です。

適切な通信インターフェースを見つける

EV充電ステーションは、互いに遠く離れている場合があり、それを接続することが困難です。例えば、EV充電ステーションは、建物間または郊外に個別に設置される可能性があり、長距離コネクションを実現できるネットワークソリューションが必要となります。一部のEV充電ステーションでは、配線コストを削減するためにワイヤレス接続を採用して、バッテリ/電気データを互いに共有または伝送しています。しかし、多くのEV充電器メーカやシステムインテグレータは、ワイヤレス接続を採用する場合、目に見えない無線電波の特性上、適切なワイヤレス構築が難しい場合や環境上の制限により、ワイヤレス信号のカバレッジが期待を下回ることや、信号損失の発生が生じる事態に遭遇します。そのため、信頼性を高め、ユーザエクスペリエンスを向上させるために、有線のデータ接続を使う必要が生じます。この事態を克服する信頼性の高い有線接続を確立するために、銅線ケーブルの代わりにオプティカルファイバケーブルを採用することで、電磁干渉に対する分離と保護が提供され、長距離伝送が実現可能となります。

信頼性に優れたCAN-to-fiberソリューション

MoxaのICF-1171I CAN-to-fiberコンバータは、CAN bus通信の限界を破り、CANインターフェースで最大1Mbps、CAN FDインターフェースで最大5Mbpsの伝送スピードを実現し、通信距離を、シングルモードオプティカルファイバケーブルで最大40kmまで延長することができるため、EV充電システムの信頼性の高い通信の構築を実現することができます。ネットワークデバイスは通常、屋外環境のスペースが限られたキャビネット内に配置されるため、MoxaのCAN-to-fiberコンバータは、コンパクトなフォームファクタの設計がされています。また、産業用の過酷な通信環境で使われるため、CANポートに対して2kVの絶縁と2kVのサージ保護、-40~75℃のワイド動作温度に耐えられる設計がされています。

多くのEV充電ステーションをコントロールセンタと接続するには、通常、長距離通信を必要とするため、複数のCAN-to-fiberコンバータを使い実現できます。また、MoxaのCAN-to-fiberコンバータは、複数のデバイスの接続を容易にするために、DIPスイッチによってCANとCAN FDのインターフェースを容易に切り替えることができます。さらに、CAN-to-fiberコンバータは、CANインターフェースのボーレート自動設定機能を備えているので、設定を行う必要はありません。ただし、ボーレート自動検出は、CAN (CAN2.0) のみ対応し、CAN FDには対応していません。通信エラーが発生した場合、LEDインジケータを確認することで、エラーがCANまたはファイバ接続のいずれかで発生したかを迅速に特定できます。

Moxaは、業界をリードする接続ソリューションプロバイダとして、CAN-to-fiberコンバータに5年間の保証を提供します。CAN-to-fiberコンバータ製品「ICF-1171Iシリーズ」の詳細については製品ページをご覧ください。

新しい接続ソリューションを活用して、埋もれかけている既存のシリアルデバイスのライフサイクルを延長することを必要とする時代です。Moxaは、将来を見据えて、既存のシリアルデバイス接続のライフサイクルを継続させるために、さまざまなシリアル接続ソリューションをさらに開発しています。詳しくは、下記の技術情報をご覧ください。