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産業用IoTの可能性を利用する
インターネットに接続されているスマートデバイスの数は、地球上の人々の数を大幅に上回っています。 スマートシティやスマート産業から、スマートビルディングやスマートホームに至るまで、IoTは常に進化しています。現在、ますます多くのデバイスがデジタル化され、ネットワークを介してインテリジェントに通信できることで、身の回りのすべての監視、制御、安全性が向上しています。その結果、プロセスやデータとのやり取りや、マシンの相互通信方法が変化しています。しかし、あらゆるスマート化を追求する中で、産業用ネットワークが産業用IoTの要求に対応するための課題は増大しています。
多くの課題が存在します。Nexusの最近の調査によると、回答者の77%が産業IoTにおける最大の課題は相互運用性にあると捉えています。これと他の要件の多くを考慮すると、企業は可能な限りシームレスな運用を実現するためのソリューションを見つける必要があります。
この記事では、企業が産業用IoTで直面するさまざまな課題に焦点を当て、運用の最適化とコスト削減の観点から、今後の進め方について説明します。
主な課題 ①:相互運用性 - 互換性の詳細が鍵
背景と課題:相互接続されたシステムでは、全く異なる分野で動作している場合でも、すべての構成デバイスが同じ言語で互いに通信できなければなりません。共通のソフトウェアインターフェース、標準のデータフォーマット、共通の接続プロトコルがないことが、IoTの世界を複雑化させています。これは産業界にとって、産業用IoTの総経済的価値の40%が、異なるシステムが連携できないためにロックされたままであることを意味します。その上、最新技術に対応させるためにコストのかかる改造や交換を必要とする寿命の長い従来型デバイスによって、シームレスな相互運用性の推進は、さらに困難を極めています。
ソリューション:デバイスとインターネットの他の部分との通信ギャップを埋めるには、データをあるプロトコルから別のプロトコルに変換することにより、ネットワーク全体の相互運用性を保証するミドルウェアやゲートウェイが必要となります。例えば、OPC対応の通信は、独自の制限なしにネットワーク間でデータを共有できるミドルウェアとして機能し、相互運用性の課題を克服します。OPC serverは、現場のPLCとSCADAシステム、現場のRTU、HMIステーション、デスクトップパソコン上のソフトウェアアプリケーション間でデータを継続的に通信できます。レガシーからIPへのソリューションにおいて、ゲートウェイはIP化を容易にする上で重要な役割を果たします。ネットワーク内の既存デバイスを交換する必要がないため、莫大なコストを削減できます。さらに、ネットワークデバイスとプロトコルの数が急速に増加する中、ミドルウェアが高速なプロトコル変換を実現することは非常に重要です。異なるプロトコルを効果的に統合したい場合、ネットワークエンジニアはこの点を真剣に検討する必要があります。
主な課題 ②:信頼性 - 新しい技術革新の中で躍進を遂げる
背景と課題:IoTの成功は、信頼できるIPベースのネットワークにかかっています。そして、生産的で効果的なネットワークの鍵となるのは、実証済みのデバイスです。IoTにおけるデバイスの信頼性は、石油・ガス、海洋・船舶、電力、鉄道業界での過酷な運用環境において特に重要です。これらの業界ではリモートアクセスへの依存度が高まっているため、堅牢性を備えたデバイスを導入することが最善の利益となります。どれほど適切に設計されたユーザーフレンドリーなフロントエンドであっても、システムのバックエンドが信頼できなければ、意味がありません。欠陥のあるデバイスや、極端な温度やその他の過酷な環境要因によって故障したデバイスは、IoTの導入に悪影響を及ぼします。ですので、デバイスの故障が原因で起こり得る結果 - 例えば人命の危険、コストのかかるダウンタイム、不正確なデータ分析などについて、十分に考慮しておかなければなりません。
ソリューション:産業用IoTの成功は、堅牢で高性能なバックエンドインフラストラクチャーに大きく依存しています。広い動作温度範囲、高いMTBF、レベル4のEMS保護、デュアル電源、デュアルLANテクノロジーを備えた堅牢な産業グレードのデバイスへの投資は、過酷な環境で稼働する産業界にとって当然のことです。
さらに、迅速なネットワークの復旧を保証するために、多くの冗長化技術が利用可能です。しかし、RSTPのようなオープンプロトコルは独自プロトコルほど高速ではありません。 その代わり、独自プロトコルには相互運用性がありません。ここ数年、Turbo RingやTurbo Chainなどの冗長化技術の進歩により、RSTPや他のネットワークとの相互運用性が実現し、両方のメリットを利用できるようになりました。
主な課題 ③:セキュリティ - FYEO (他人に見せるべきではない機密性の高い情報)
背景と課題:今後、インターネットに接続されたすべての機器やクラウドベースのサービスにリモートアクセスできる産業用ユーザーがさらに増えることが予想されるため、サイバー攻撃のリスクはかつてないほど高まっています。これまでは、サイバーセキュリティは限られた数のエンドポイントに焦点を当てていました。“インダストリアル・インターネット”の出現により、セキュリティはその焦点を拡大し、物理的および仮想的な世界を含む大規模なものへと拡大する必要があります。
ソリューション:デバイスレベルの認証やアプリケーションのセキュリティからシステム全体の保証まで、サイバーフィジカルのスタック全体におよぶ新しいセキュリティフレームワークを再設計することは、容易なことではありません。一般に、IoTソリューションの信頼性は、最も脆弱なコンポーネントと同じ程度しかありません。そのため、IEC-62443などの業界のサイバーセキュリティ規格に準拠したファイアウォール保護を備えたデバイスでセキュリティを強化することが極めて重要です。ファイアウォールは、デバイスによって処理されたアクティビティを追跡、記録、報告する機能に大きくばらつきがあるため、デバイスが最も包括的で使いやすいアクティビティログ機能とアラート機能を備えていることを確認する必要があります。安全なリモートアクセスに関しては、ファイアウォールにVPNサポート (オープンVPN暗号化) が必須です。また、レイヤー2トンネリングプロトコル (LZTP) とインターネットプロトコルセキュリティ (IPSec) も、デバイスのリモートアクセスを保護するための信頼できる機能です。
物理的なセキュリティに関しては、オペレーターがVideo Always-On技術を搭載したネットワーク上で実行される堅牢な産業用グレードのIP監視カメラを使用することで、過酷な環境で稼働している場合やマルチキャストストリーミングを使用している場合でも、死角を防ぐことができ、常時監視を行うことができます。
主な課題 ④:ネットワークパフォーマンス - 大きな圧迫要因
背景と課題:ほとんどのネットワークは、拡大するIoTの課題に対応できるようには設計されていません。マルチシステム統合とビデオ監視が主流となっているため、ビデオ、音声、データ、制御コマンドを組み合わせるために、高帯域幅の統合ネットワークが必要となります。これまでのレガシー監視ツールはすでに限界に達しています。何十億台ものデバイスが指数関数的に大量のデータポイントを生成し、そのすべてを収集・分析する必要があるため、ネットワークはより多くの帯域幅を提供しなければならないという大きなプレッシャーにさらされることになります。このような大量のデータをインターネット経由で転送するには、新たなレベルの帯域幅を消費することになります。さもなければ、ネットワークはボトルネックに悩まされることになります。
ソリューション:データ転送速度は、特定のアプリケーションに適したネットワーク技術を選択する際の重要な考慮事項です。4G (LTE, LTE-A) や5Gなどの技術は、データ転送速度が速いため、IoTアプリケーションに適しています。
未来の高速ネットワークを構築するために、他にも多くの選択肢があります。ギガビットレベルのバックボーンは、途切れることのないハイパフォーマンスの必要性を求めるネットワークエンジニアが注目するソリューションの一つです。見逃せないのは、最大300Mbpsの速度とMIMOを提供し、シームレスなvideo-over-wirelessネットワークを実現する、IEEE 802.11n規格の開発です。さらに、特にミッションクリティカルなマルチサービスネットワークにおいて運用を最適化するために、ネットワークのコア、エッジ、アクセスの各層にマルチキャスト技術が存在する必要があります。モーションやオブジェクトの検出、アラートゾーンを通じてビデオストリームを識別し、優先順位を付けるインテリジェントなビデオ解析によって、ビデオシステムがネットワークをより効率的に使用することで、ネットワークのパフォーマンスをさらに向上させることができます。
主な課題 ⑤:拡張性 - 有線の限界を超える
背景と課題:すでに何十億台ものデバイスが接続され、今後さらに数十億台が接続されると予想される中、デバイスの大規模な追加に伴う厳しい現実として、数百万件の潜在的なイベント障害が発生する可能性が高まります。そこで、産業システムは、拡張性に優れたスケーラブルなインフラストラクチャーを準備しなければなりません。IDCは、2020年までに "接続されたデバイス" の総数が2,000億台を超えると予測しています。また、今後導入される多くのデバイスがますますモバイル化され、断続的な接続、低消費電力化が進み、変化する環境への対応も必要になるでしょう。
ソリューション:IoTシステムには、ソフトウェアや追加機能によってソリューション全体に容易に統合できる適応性と拡張性が必要とされます。Turbo Chainなどの新しい冗長化技術は、産業用IoTアプリケーションをサポートするための柔軟で大規模な拡張性を実現し、また、大規模ネットワークの信頼性を常に確保します。モバイルネットワークでは、LTEは、多数のモバイルデバイスがリアルタイムインタラクションや重要なデータのトランザクションを実現するための高度な機能を提供するように設計されています。また、スマートCPUを搭載した低消費電力デバイスは、十分な処理能力と優れたエネルギー効率を備えているため、ネットワークの拡張が大幅に容易になります。
主な課題 ⑥:管理 - オールインワン
背景と課題:産業用IoTは、メンテナンスとアップデートを念頭に置いて構築する必要があります。相互接続されたデバイスが複雑に入り組んだネットワークが形成されてしまうと、システムオペレーターは既存のシステムだけでなく、新しいシステムすべてを管理しなければなりません。
エンジニアは長い学習曲線に直面しています。多くの管理ソフトウェアのユーザーインターフェースは、産業用オートメーション向けに設計されていません。そのため、管理タスクごとに異なるツールが必要となります。さらに問題なのは、ネットワークを手動で設定すると、人為的ミスや長時間労働が発生する可能性があることです。また、タイムリーにエラーに対応するためには、制御室のエンジニアを雇用し訓練するための追加費用がかかります。
ソリューション:最新のマネージメントソリューションには以下のツールが備わっているため、ネットワークエンジニアの作業をより簡素化します。
- 導入、運用、保守、診断を包括する統合ネットワークマネージメントスイート
- デバイスを迅速に設定・導入するための生産性向上ツール
- 定期的なメンテナンスルーチンに頼るのではなく、センサーを使用して機械を継続的に監視し、故障を回避したり、メンテナンスが必要な時期を判断する予知保全
- エンジニアがデバイスのステータスをリアルタイムで確認したり、イベント通知を受け取ることが可能な、アプリによるモバイル管理
- デバイスやシステム管理用のアプリケーション開発を簡素化する強力なツール、アプリケーションプログラムインターフェース (API)

Moxaのソリューション
Moxaは、前述の課題に対応する複数のソリューションを提供しています。たとえば、Turbo Chain、Turbo Ring、 AeroLink保護、V-ONなど、評判の高いネットワーク冗長化技術は、迅速なネットワークリカバリーを保証します。さらに、産業用ネットワークマネージメントプラットフォームのMXviewは、リアルタイム、ポートレベルトポロジー、SCADA統合など、IAに適した機能をサポートしています。MXview ToGo appは、エンジニアがいつ、どこでもリアルタイムのステータスを確認したり、イベント通知を受け取ることができます。Moxaの産業用IoTソリューションの詳細については、以下の技術情報や資料をご覧ください。