1. ホーム
  2. 技術情報
  3. Moxa
  4. RS-232C/422/485シリアルインターフェースの産業機器をシリアルデバイスサーバ経由でSerial-to-Ethernetに変換して通信の最適化を実現する

技術情報

Moxa

RS-232C/422/485シリアルインターフェースの産業機器をシリアルデバイスサーバ経由でSerial-to-Ethernetに変換して通信の最適化を実現する

  • 2022.08.17
スマート マニュファクチャリングのためのシリアル-イーサネット通信の最適化

シリアル通信は、何十年にもわたりRS-232C/422/485といったシリアルインターフェースが多くの産業機器や施設で使われ、信頼性の高いコネクティビティを提供してきました。しかしながら、現在では、イーサネットが標準となる一方、多くの従来機器が未だにシリアル通信に依存しています。昨今の景気の低迷により、まだ使用に耐えるシリアルインターフェースを簡単に廃棄して新しいイーサネット機器にリプレースする訳にはいきません。その中で産業界では、OT/IT収束が運用効率を最適化できることを認識しはじめていることからフィールドエンジニアとシステム事業者が、古いシステムと新しいシステムを統合するという課題に直面しています。 幸いなことに、シリアルデバイスサーバなどのソリューションは、シリアルデバイスと最新のイーサネットベースのシステムとの間のギャップを埋めることができます。しかしながら、シリアル通信とイーサネット通信は、本質的に2つの異なるデータ転送方法を採用していることから、シリアルからイーサネットベースのネットワークに移行する場合、TCP/IPネットワークの安定性と読み取り/書き込みパフォーマンスに懸念が生じる可能性があります。

MoxaのNPortシリアルデバイスサーバは、ホストコンピュータに仮想COMポートを設けて、ネットワーク上のIPポートをマップし、エッジのシリアルデバイスがシリアルケーブルで物理的に接続されているかのようにホストコンピュータと通信できるようにし、シリアルソフトウェアアプリケーションを変更しないReal COM driverと呼ばれるドライバが付属しています。さらに、Real COM driverは、仮想シリアルポートがネイティブシリアルポートに可能な限り近いパフォーマンスを発揮できるよう豊富な高度な機能を提供します。

この記事では、産業現場で一般的に見られるCNCマシンと無人搬送車(AGV)の監視の2つのアプリケーションを取り上げ、このReal COM driverを使用してserial-to-Ethernet通信の課題を容易に克服する方法について説明します。

Scenario 1:CNCマシン監視

従来のCNCマシンは、通常、RS-232通信を使用しています。CNCマシンの生産性を最適化するには、ダウンタイムを短縮し、製造プログラムをタイムリーに切り替えるために、即時のアクションを実行できるようにリアルタイムにデータを収集することが重要とされます。そのため、リモート監視アプリケーションを有効にして、コントロールセンタからCNCマシンを制御および監視する必要があります。これを実現するには、シリアルデバイスサーバを使用してシリアルベースのCNCマシンとコントロールセンタのイーサネットベースのシステム間の通信をブリッジすることができます。しかしながら、異なる通信方法間でのデータ転送は、ネットワークの信頼性について不確実性を生み出します。その他に、イーサネットネットワーク経由でシリアルデータを変換することは、データの送受信のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。

NPortは、どのように役立つのでしょうか?

自動ネットワーク再接続でStay Connected(接続を維持する)

Real COM driverに組み込まれた高度な自動ネットワーク再接続機能により、CNCマシンとイーサネットベースのシステムとの接続を維持することができます。TCPコネクションが切断され、NPortシリアルデバイスサーバがAlive Checkパケットに応答しない場合、Real COM driverは、TCPコネクションの再確立を繰り返し試みます。そのためポートを閉じてソフトウェアを再度開いて再接続する必要がありません。

NPortは、どのように役立つのでしょうか?

TxモードとFast Flushによる転送パフォーマンスを向上させる

native COMポートに限りなく近い動作パフォーマンスを実現するために、Real COM driverは、CNCマシン監視アプリケーションの転送パフォーマンスを向上させる機能を提供します。まず、Txモード機能は、Hi-performance modeをサポートし、データが送信されるとNPortドライバがアプリケーションプログラムに通知できるようにします。これにより、NPortドライバがNPortから確認を受信した後にのみアプリケーションプログラムに通知する従来のクラシックモードと比較して、伝送パフォーマンスを向上させ、より優れたスループットを提供することができます。

Fast Flushは、Windowsオペレーティングシステムのために特別に設計された機能です。一部のアプリケーションにおいてユーザのプログラムは、データの読み書きを行う前にWin32 PurgeComm()関数を使用します。プログラムがこのPurgeComm() 関数を使用している場合、NPort driverは NPort のfirmwareにキューイング(querying)を続け、ローカルバッファをFlushする前に NPort firmwareのバッファにデータがキューイング(queuing)されていないことを確認する結果、応答時間が長くなります。より高速な応答時間を必要とするアプリケーションに対応するために、MoxaのFast Flush機能は、NPort firmwareにキューイング(querying)することなくローカルバッファを直接flushし、転送パフォーマンスを向上させます。

Scenario 2: AGVの監視

AGVは、ファクトリのマニファクツアリング現場や倉庫でのリフティングや輸送作業を自動化し、効率を高め、作業人件費を削減するために活用されています。一般的に使用されている磁気テープによるAGVの誘導は、AGVにビルトインされたガイドセンサー(RFIDなど)を使い、その経路をたどり実行します。使用するアプリケーションソフトウェアは、応答が受信されるまで50msごとにAGVに位置リクエストを常に送信し、現在の位置を確認します。場所が確認されると、ソフトウェアはタスクコマンドを送信します。多くのアプリケーションプログラムには、データの送受信に特定のタイムアウト制限を設けています。AGV のコントローラが時間内に位置情報リクエストに応答できない場合、アプリケーションは、リクエストを送り続けることになり、通信全体が非効率になります。

NPortは、どのように役立つのでしょうか?

データパッキングとForce Transmitによる送信時間の制御

MoxaのNPort Real COM driverは、AGVの運用において円滑な通信を確保するためにシリアルデータをいつ、どのようにパックして送信するかを決定するData Packing機能をサポートしています。シリアルデータは、パケット長を指定するか、特殊文字が検出されたときにパックされることができます。データパケットにルールがない場合、または不完全なデータパケットを送信したい場合、Force Transmit機能を使用して、完全なシリアルデータストリームを待つ最大時間間隔を事前に設定できます。文字間のインターバルタイムアウトがこの機能を定義し、ファームウェアは、指定された時間内にシリアルデータを同じデータフレームにパックするように強制します。この機能を有効にすると、NPortシリアルデバイスサーバは、内部バッファが満杯になった場合、または文字間間隔がタイムアウトの場合のみ、バッファに格納されたデータをTCP/IP経由で転送します。

MoxaのNPortシリアルデバイスサーバは、産業アプリケーションにおいて、ユーザの要求を満たすために異なる運用モードに対応する様々な機能を提供します。

NPort運用モードガイダンス(Industrial Internet of Things (IIoT)の下でMoxaのNPortシリアルデバイスサーバを最大限に活用して高度な機能と運用モードを適切にマッチンさせることによりserial-to-Ethernetソリューションを実現)。さらに、MoxaのNPortシリアルデバイスサーバは、セキュリティ機能と様々なOSドライバサポートをサポートしており、シリアルデバイスを最新のシステムに簡単かつセキュアに接続できるようにします。詳細については、下記のページをご参照下さい。