技術情報

OTセキュリティ / 産業用ネットワークソリューション

2025/07/09
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Moxa

進化する脅威に備える、産業用ネットワークセキュリティの設計アプローチ NEW

デジタル化に向けた産業ネットワークの再設計

産業分野におけるデジタルトランスフォーメーション (DX) は、競争力の強化や収益向上のために欠かせない取り組みとなっています。しかしその第一歩として、情報技術 (IT) と制御技術 (OT) のインフラ統合という大きな課題に直面します。IT/OTの融合により、データの接続性を高めることが求められますが、既存のOTネットワークインフラでは性能不足・可視性の低さ・セキュリティの脆弱さといった課題が発生しがちです。業務運用を支える高性能かつメンテナンス性の高いネットワークを構築するためには、計画的で堅牢なネットワーク設計が必要です。

この記事では、強固なOTネットワークセキュリティの重要性に着目し、産業オペレーションのサイバーセキュリティを高めるためのヒントをご紹介します。

なぜOTネットワークのセキュリティ強化が必須なのか

近年、エネルギー(※1)、交通(※2)、水道(※3)などの重要インフラ分野で、かつてない規模のサイバー脅威が確認されています。攻撃が成功すれば、高額な復旧費用や操業停止といった深刻な損害につながりかねません。IT/OTネットワークの統合を進めるにあたっては、まずネットワーク全体のセキュリティレベルを定義し、万が一の侵入に備えた対策を講じる必要があります。とはいえ、OT環境にITベースのセキュリティをそのまま適用するのは困難です。ITでは頻繁なアップデートで最新の脅威に対応しますが、それはOTにとっては稼働停止リスクにつながります。このため、OTの稼働を止めずに保護できるセキュリティ設計が求められています。

OTサイバーセキュリティ構築の3ステージ

OTネットワークにおけるセキュリティ構築は、正しいアプローチで段階的に進めることで実現できます。鍵となるのは、多層防御 (Defense-in-Depth) 戦略の実装です。

ステージ 1:セキュアなネットワーク機器で基盤を整える

ネットワークの安全性を高める第一歩は、セキュリティ対応機器を選ぶことです。産業サイバーセキュリティに関する国際標準 (例:NIST CSF、IEC 62443) は、重要資産・システム・機器を保護するための指針を提供しています。これらの標準に準拠したネットワーク機器を使用することで、堅牢なインフラの基盤を築くことができます。

IEC 62443規格対応の詳細については、こちらの技術情報をご覧ください。

技術情報:「IEC 62443-4-2」で強化する、産業用ネットワークセキュリティ

ステージ 2:OT中心の多層防御を展開する

多層防御とは、ネットワークの複数のレイヤーにセキュリティを配置し、1つが破られても他が防ぐ仕組みです。また、セキュリティイベントを即時通知できれば、被害を最小限に抑える対応が可能です。

OTネットワーク向けの多層防御を構築するうえで、産業用ファイアウォールとセキュアルーターが重要な役割を担います。

ネットワークセキュリティの階層化保護

重要資産の保護に:産業用ファイアウォール

ファイアウォールを導入することで、ネットワークゾーンを分離し、潜在的な脅威から資産を守ることができます。すべての機器が攻撃対象となる中、トラフィックを細かくフィルタリングし、安全な通信経路を確保することが不可欠です。

次世代ファイアウォールでは、以下のような機能を搭載しています:

  • IDS/IPS (侵入検知/防御)
  • DPI (ディープパケットインスペクション)

これにより、通信内容を解析して異常を検知し、攻撃を未然に遮断可能です。また、産業プロトコルに対応したDPIを活用することで、ModbusやPROFINETなどの通信も安全に管理できます。仮想パッチ (バーチャルパッチ) に対応したIPS機能で、旧型のPLCやHMIも最新の脅威から保護可能です。こうした機能により、ネットワーク稼働率を保ったままセキュリティ強化が実現します。

ネットワーク境界の強化に:産業用セキュアルーター

IT/OT統合ネットワークでは、膨大なデータを現場から制御センターへと送る必要があります。このため、異なるネットワーク間には高性能なセキュアルーターを配置することで、境界の保護と通信性能の両立が求められます。

産業用セキュアルーターは以下のような機能を備えています:

  • ファイアウォール/NAT:ネットワーク間のセグメント化と制御
  • ギガビット通信と冗長設計:高い転送性能と信頼性
  • VPN接続:安全なリモートメンテナンス

これにより、ネットワークの整合性を保ちながら、現場機器への遠隔対応も可能になります。

ステージ 3:ネットワークの可視化と脅威の検出

セキュアなネットワークを構築した後も、日常運用における監視と管理が重要です。管理者がネットワーク全体の状態を把握し、トラフィックを監視し、機器を管理するには多くの工数がかかります。その課題を解決するのが、集中型ネットワーク管理ソフトウェアです。これにより、ネットワークの可視化と管理の効率化が実現します。

さらに、サイバーセキュリティ管理専用のプラットフォームを導入すれば、ファイアウォールポリシーの一括配信、脅威検知と通知設定、インシデントの迅速な対応といった運用が可能となり、管理者は全体像を俯瞰しながら脅威に備えることができます。

未来を見据えたセキュリティ対策を、今すぐ

産業ネットワークのセキュリティは、あらゆるインフラにとって最優先事項です。Moxaは35年以上にわたり産業ネットワークに携わり、OTに特化したサイバーセキュリティソリューションを展開しています。

  • IEC 62443-4-1 認証取得
  • 製品開発にはIEC 62443-4-2の原則を反映
  • 高可用性とセキュリティを両立した製品ラインナップ

Moxaのネットワーク管理ソフトウェアにより、機器の状態とセキュリティ状況を一元管理し、脅威に対する備えをシンプルに実現します。