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製品・技術情報

初歩のZigBee

  • 2010.05.13

第2章 : 主な特徴

情報通信ネットワークの中で、センサーネットワークの通信には、次の三つの特徴があると言われております。

(1) プッシュ主体
プッシュ(push)は、押すことですが、自分からセンス(感知)したデータをネットワークに送りだすことになります。この言葉の反意語としてプル(pull)がありますが、これはデータを取り寄せることを意味します。Webでのブラウジングは、検索エンジンにアクセスはしますが、必要なデータを自分のところに引き取る(pull)ことが多くなります。
(2) トラフィックの偏在
センサは一つのネットワークに多数接続され、何段ものネットワーク装置を経由してセンター装置にデータが集まりますので、センサ付近のトラフィック(行き交う情報量)は少なく、センターに近いところではトラフィックが多くなる傾向があります。
(3) 間欠送信
アプリケーションにもよりますが、自然現象や人間を相手にする様なセンサは常に連続してデータを送る続けることはほとんどなく、ある時間間隔で、またはイベントの発生時(例えば何かが近づいた場合、異常が起きた場合等)にデータを送ることが多くなります。いわゆる間欠型の通信になります。
この様な観点で特徴を見ていきますと、ZigBeeの特徴としては、以下のことがあげられます。
長所
・消費電力が小さい
装置自体(内部で使用しているICチップ等)の消費電力が小さいことと待機モード(省エネで、かつ高速に復帰できるモード)の消費電力が極端に小さいこと、また、アクセスモード(送受信を行っている時間)と待機モードの時間比を長く取れますので、総合的に消費電力を小さくできます。
・スリープ状態(待機状態)からの回復が速い
約15 msec(0.015秒)と非常に高速です。このことにより短い時間に対しても待機状態に設定できることになりますので、きめ細かく消費電力を下げることができます。回復が遅い場合には、回復の時間を見込んで待機状態に入ることになりますので消費電力を下げにくくなります。
・安価にできる
ライセンスフリーな標準仕様を使用できますので各社の開発期間が短縮され、更に、そのことにより開発費用の削減につながります。ICのワンチップ化も進んでおり大量生産ができるようになれば更にコスト低減が可能になります。
・1つのネットワークで端末を最大65,535台接続可能
他の方式と比較しても圧倒的に多くの端末を接続できます。
・メッシュ(網の目状の)ネットワークの構築が可能
LANでは既に可能ですが、現状他のPANの方式ではできません。
これができることで一部の経路が途切れても(物理的な障害物のために電波が途切れたり、またノイズや干渉等の発生により通信に不具合が発生したりした場合)自動切り替えで他の経路を経由できますので安定した通信が可能となります。
・セキュリティの質が高い
データの盗難、改変を防ぐためのセキュリティの質が非常に高い128ビットのAES(Advanced Encryption Standard : 米国政府の次世代標準暗号化方式)暗号化が可能です
短所
・速度が遅い
家電向けセンサーネットワークとしてスタートしましたので、最大転送速度は250kbpsとそれほど速くありません。逆にそのことにより消費電力を下げることができます。
・パケットサイズ(一度に送るデータの大きさ)が小さい
最大104バイトと非常に小さい。これはセンサーネットワークを目的としているためこれで十分ですが、どうしても一度に大きなファイルを送る必要がある場合には、ワイヤレスLAN等が適します。ただしワイヤレスLANの場合には、以下でも説明する消費電力が大きい等の別の難点があります。
通達距離があまりとれない
送信電力が小さいために(消費電力は下がりますが)装置単体の通信距離はあまりとれません。ただし、ルータ(中継)機能でマルチステップ(多段接続)の通信が可能ですので、総合的には長い距離の通信が可能になります。